双眼鏡筒光軸調整

今回ある方からの要望で双眼鏡筒を分解しレンズ及びプリズムのくもりとカビの発生を除去し光軸整備調整操作をやって見たいとの要望にプロの立場で、永年の経験を元に、図解と写真にてお答えしたページです。戦前戦後に製品化されたプリズム、レンズはゴーティングがされておりませんので分解しカビ・くもり等は除去により、比較的元の状態に戻る可能性大です千代田顕微鏡双眼鏡筒(ジーデントップ)双眼鏡筒分解前に用意する物・・・現用の接眼レンズ10倍と対物レンズ10倍を使用・芯出用シートの作り方1図は透明に近い薄いビニールシートを用意市販のコンパスカッターで直径19mmにカットし(5、6枚の内,針先が中心にあるシート)できる限り小さい孔形が最良で、視野絞位置にシートを入れた2図接眼レンズをセットし回転しながら覗いたとき針穴が中心に位置するものを選択する。
3図は付属検鏡用P10倍レンズにコンパスカッターで作成したシートをセットした状態4図は接眼レンズを回転しコンパス針先が中心にあるものを選択する。
分解前の確認、鏡台芯出用にシートをセットした接眼レンズを双眼右鏡筒に装着、対物レンズは10倍、ステージに適当な標本を載せピンホールに適した芯出し目標となる点を選び動きにくい様にクレンメルで固定、更にセロハンテープにて張り外部から衝撃があっても不動が必須。まず最初右単眼でピントを合わせ適当な点を中心に設置双眼軸を左右対称であれば最良であるが、経年変化により多少は変化しているものもある。(左右双眼鏡筒の光軸に変化が少ないほど長時間の検鏡が楽なのである)元来工場で組み立てが行われる場合、機械部品・プリズム、レンズ全て寸法・角度・球面精度が検査規格内に収められ治具を使用すれば組立工程は簡単に検査OKとなります。永年使用し、その間机上から落下など、強い衝撃など加えられない限り光軸変芯等起こり得ません。しかし、カビ、くもり等により分解整備し復元する、こととなると治具の無い状態での操作は完璧に事を運ぶには難しい問題も含んでいます。ここで永年の経験で分解組立ての最善策を考え順を追って説明いたします。7図の双眼右鏡筒に作成したピンホール接眼を差込10倍対物レンズ・標本は確認しやすい光軸点を設定、(d)レバーでステージの回転を固定、更に8図のレボルベル回転部分円周(a)を、ステージ標本(c)共にセロハンテープで固定、前後動ハンドル固定レバー(d)でストップ、したがって光軸調整で動き可能となるのは左右斜動ハンドル(e)のみとなる。
双眼鏡筒左右の光軸を確認後、9図左(A)のネジを抜き、更に2mmのネジを緩め10図双眼鏡筒(B)を固定・鏡台結合部品(C)を時計反対方向に回転すれば分離する。
双眼鏡筒軸受(C)を外すと11図プリズム面が現れ12図上面から輪郭に沿って図のように所々ケガキ
を入れる、この作業は復元時の表示である。(C)の筒長補正レンズも拭いておく。
13図双眼鏡筒軸受(C)を外すと14図プリズム面が現れる上面から輪郭に沿って図のようにケガキを入れる、この作業も復元時の表示である。
15図まずプリズムカバー(G)の2本のネジを抜き、次にプリズム固定ネジ(F)を緩めると16図プリズムが外れる。
機械加工された双眼軸に、検査基準合格プリズム部品を組込された時点で中芯軸定位置にセットされている。プリズム面にカビ・くもり・汚れ等取り除くポイントは市販のレンズクリーニングペーパーを使用するのが、一般的だが、当時工場では1反のさらしの布を50mm幅の短冊状に裂き使用し汚れに従い洗濯し繰り返し使用していた。現代は使い捨てのペーパーを使用しているようだ。カビ・くもりを除去する最適なのは人間の唾液であり、ペーパーか布に少量の唾液を含ませ少々強めに擦り、後アルコール60%とエーテル40%の混合液で拭き取ると、綺麗な研磨面が現れるはずであるが、経年変化により千差万別でもある。写真の機種(Lcm-bi)1947年代に製品化されたもので光学系はコーティングされていません、カビ・くもり除去後、非常に綺麗な表面が現れました。光学部品について戦前戦後と製品化されていた光学ガラス表面の反射防止膜(コーティング)の無い時期のレンズ・プリズム面は硝材によってのヤケ以外は拭き取る事によって非常に綺麗な研磨面に戻る可能性大である。初期のコーティング加工膜は開発途上にあり、その時期に製品化された光学部品は膜そのものが水分に弱く、最悪の製品も多々あった。(光路補正・屈折・配光・俯角プリズム等は双眼顕微鏡光路内部機構図を参照して下さい。)俯角プリズムを外し、17図眼幅調整60指示附近で19図(f)孔の奥にマイナスネジの頭部が見えますので、抜きます、更に図75水平位置まで開き20図(f)孔に2本目のネジの頭部が出ますのでこれも抜きます、17図の眼幅目盛指針カバー2箇所のネジを抜き18図双眼右プリズムカバー↑6本のネジを抜きカバーを外します。
20図配光プリズムが光路補正円周プリズムの外周に沿って固定されている位置確認。配光プリズム調整ネジ(h)の反対側のネジにセロハンテープで触らないようにカバーしを(h)を緩め静かにプリズムを抜く、21図の接眼鏡筒(b)も抜き、22図筒受けリング(s)外周を360度鉛筆でなぞり輪郭指示しておく。(復元組立時の指針)
23左図プリズム真鍮固定板(g)2箇所の窪みをプラスドライバー等でキリモミし光らしておく。24図光路補正プリズム(i)を抜くには3本(r)のネジを抜き、22図筒リング(s)を外します。
25図光路補正プリズム筒(m)切溝をピンセットで時計反対方向に回し抜き、26図補正プリズムも抜き裏表をカビ・くもり等を拭きとり、元の25図の状態に復元。
27図の状態に復元するのだが、プリズム全面を綺麗に拭きあげプリズム固定版を溝に置き鏡筒のプリズム接触部分の汚れを拭き、元の状態にプリズムを滑らせる様に差込んでゆくと↓先の孔に(金属真鍮板)光の部分が見えてくるその位置に2mmのネジを差込軽く止めて置く更に28図眼幅60の位置に狭めてくると2箇所目のネジ止め位置が見えてくるのでネジを差込軽く止める、そしてプリズムを左右に移動(僅か)して定位置に固定、プリズム横固定ネジと2箇所の2mmのプリズム押さえネジを強めに固定する。更に俯角プリズムを復元の位置に置き横ネジとプリズムカバー2箇所のネジを締め付ける。
光路補正プリズム・配光プリズムと俯角プリズム定位置にセットされ、各プリズムのネジが固定され、29図双眼鏡筒を俯角プリズムをカバー無しで鏡筒固定ネジ(2mm)を締めて、鏡台にセットする。ここで右双眼光軸軸を分解前に確認した位置に復元するのだが、それぞれケガキした位置に戻したとすれば、光軸変芯は僅かでありプリズム固定ネジ(h)と接眼鏡筒リングの3本(r)のネジを緩め光軸への調整は簡単に遂行でき、後、緩めたネジを硬く締めつけ右鏡筒の芯出しは終わる。ここで30図左側のプリズムを外すのだが←の屈折プリズムを固定している2本のネジが僅かに接眼鏡筒受リング(v)に邪魔されて抜けない状態にあり、右リング同様に360度円周を鉛筆でケガキ指示しておき、
31図接眼レンズ鏡筒受リング(w)3本のネジを抜くと鏡筒(v)が外れ、プリズムの露出している部分の輪郭を前回同様ケガキして、次に屈折プリズムを押さえている30図←2本のネジを抜き、更に32図の固定ネジ→を緩め、静かにプリズムを抜く。屈折プリズムのカビ・くもりを綺麗に拭き取り、プリズムが位置する接触部分も良く拭き、左プリズムをケガキした位置に復元する。右鏡筒芯出調整を行ったことと同様な操作で左鏡筒も遂行。
33図で左右鏡筒同軸に調整を確認し終わる。35図(y)は眼幅調整75~55ストップ位置決めネジ・(x)は眼幅硬緩調整ネジで緩めても変化が無く硬い場合オイルが固まってるので(z)位置に少量のオイルを加えることにより、ネジの絞め具合により任意の硬さに設定できる。34図で視度調整リングがグリスで固まり、回転が重い場合、調整リング(q)外周の3箇所のネジを緩め抜き、(r)回転筒←部分に少量のシンナー等を塗布し、2・3回転し良くなった時点でリングをもとに戻しておく。
36図左接眼鏡筒に定規を当て右鏡筒(r)を回転し水平位置まで移動させ、(q)目盛りリングの0点を指針に合わせ3本のネジで固定する。千代田オリジナル双眼鏡筒Bbiについての分解調整整備も内容は殆ど同じであるが、イエンチェ形式の双眼鏡筒の光軸調整については骨格だけの治具専用カバーが用意されており、治具なくしての調整は不可能に近いので、未経験での挑戦は断念が得策と考えます
 千代田顕微鏡の歴史 ここまで、画像、写真、を交えて説明いたしましたが、製品を目前に置き相対での説明に、ご理解していただくには、簡単な事とは思いますが、説明文となりますと、不充分な点は多々あると、自問自答しております。内容については、ご理解いただけない点はメールにてご質問をお受けいたします。

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